「えぐい」は関西弁?意味の変化と今の使い方

えぐいは関西弁かを表すアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が関西弁の一般的な使われ方を調べて独自に執筆しています。意味や使い方は地域・世代によって違うことがあります。

「それえぐいな」と言われて、ほめられたのか引かれたのか分からなかった、という方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、えぐいはもともと「あくが強い」という意味の言葉で、関西などでは「ひどい・きつい」、若い世代では「すごい」の意味でも使われています。この記事を読めば、えぐいの意味の変化と、今どう使われているかが分かります。

目次

「えぐい」は関西弁?もとは全国にある言葉

先に結論

「えぐい」は関西だけの言葉ではなく、もとは「あくが強い・えぐみがある」という意味の言葉です。そこから意味が広がり、関西などで「ひどい・きつい」の意味でよく使われてきました。

『えぐいって関西弁じゃないの?』と思った方も多いはずです。実は、もとの意味の「えぐい」は、食べ物の味を表す言葉として全国にあります。

例えば、山菜やたけのこを食べた時に、のどがイガイガするような味を「えぐい」と言いますよね。「えぐみ」という言葉も、同じ仲間です。

そこから意味が広がって、関西では「ひどい」「きつい」「容赦ない」といった意味で使う人が多くなりました。関西弁のイメージが強いのは、この使い方がよく耳に入るからなんです。

関西弁と言われる理由

えぐいが関西弁だと思われやすいのは、関西の会話でよく聞くうえ、関西弁の語尾と一緒に出てくるからです。「えぐいな」「えぐいて」「えぐない?」のような言い方ですね。

ただ、どこから広まったかははっきりしません。「関西でよく使われてきた言い方の一つ」くらいに受け止めておくのがちょうどいいですよ。

関西弁の「えぐい」の意味は?3つに分けて見る

えぐいの主な意味
  • あくが強い・えぐみがある(もとの意味)
  • ひどい・きつい・容赦ない
  • (若い世代で)すごい・とんでもない

えぐいの意味は、大きく分けると3つです。どの意味かは、話している相手や場面で変わります。

意味主に使う人例文標準語訳
あくが強い幅広い世代「このたけのこ、ちょっとえぐいな」このたけのこ、少しあくが強いね
ひどい・きつい関西などで幅広く「えぐい量の宿題出たわ」ひどい量の宿題が出たよ
容赦ない関西などで幅広く「その言い方えぐいで」その言い方は容赦ないよ
すごい若い世代を中心に「今のシュートえぐっ」今のシュート、すごい
えぐいの意味の広がりを示した図解

もとの意味「あくが強い」

えぐいのもとの意味は、味がいがらっぽく、のどや舌に残る感じです。山菜や野菜のあく抜きが足りない時によく使います。

  • 「あく抜きせんかったら、えぐなるで」(=あく抜きしないと、えぐくなるよ)
  • 「このほうれん草、ちょっとえぐいわ」(=このほうれん草、少しえぐみがあるね)

関西でよく聞く「ひどい・きつい」

関西でよく耳にするのが、「ひどい」「きつい」の意味のえぐいです。程度が大きすぎて、ちょっと引いてしまうような時に使います。

  • 「この坂えぐいな」(=この坂、きついね)
  • 「えぐい雨降ってきたで」(=ひどい雨が降ってきたよ)
  • 「そのツッコミはえぐいわ」(=そのツッコミは容赦ないなあ)
  • 「えぐいこと言うなあ」(=きついことを言うなあ)

この使い方は、相手を責めるというより「ひどいなあ」とあきれたり、驚いたりする気持ちに近いです。言い方によっては笑いを含むこともありますよ。

若い世代の「すごい」

最近は、若い世代を中心に「すごい」「とんでもない」の意味でも使われています。ほめ言葉として使うことも多いんです。

  • 「この景色えぐない?」(=この景色、すごくない?)
  • 「点数えぐいやん」(=点数すごいじゃない)
  • 「えぐ、もう終わったん?」(=すごい、もう終わったの?)

「えぐっ」「えぐ」と短く言うのも、若い世代によくある形ですね。

意味の見分け方は「何に向けて言っているか」

『結局、今のえぐいはどの意味?』と迷った時は、何に向けて言っているかを見てみてください。食べ物の味に向けていれば、もとの意味のことが多いです。

量や天気、坂道、仕事の多さに向けていれば「ひどい・きつい」の意味。人の腕前やできばえに向けていれば、「すごい」とほめていることが多いですよ。

何に向けて言っているか多い意味例
食べ物の味あくが強い「このごぼうえぐいな」
量・天気・坂・仕事ひどい・きつい「えぐい坂やな」
言い方・ツッコミ容赦ない「今の一言えぐいわ」
腕前・できばえ・景色すごい「歌うまさえぐいやん」

えぐいの意味はどう変わってきた?

「強すぎる」がつながりのカギ

えぐいの3つの意味は、どれも「度を越して強い」という感覚でつながっています。味が強すぎる、程度がひどすぎる、すごすぎる、と広がったと考えると分かりやすいですよ。

もとの「えぐい」は、のどにひっかかるような強い味のことでした。そこから「気持ちにひっかかるほどきつい」「ひどい」の意味が生まれたと言われています。

さらに、「ひどいくらいすごい」という意味で、ほめる時にも使われるようになりました。悪い意味から良い意味に広がった言葉なんです。

段階意味感じ
もとの意味あくが強い・えぐみがある味が強すぎる
広がった意味ひどい・きつい・容赦ない程度が強すぎる
今の若者言葉すごい・とんでもない良い意味でも強すぎる

『悪い意味の言葉がほめ言葉になるの?』と不思議に思うかもしれません。

標準語の「やばい」も、もとは悪い意味でしたが、今は「すごい」の意味で使われますよね。えぐいも似た流れだと考えると、すっと入ってきます。

世代によって受け取り方が違う

えぐいは、世代によって受け取り方が大きく変わる言葉です。年配の方には「ひどい」の意味が強く残っていて、ほめ言葉としては聞き慣れないこともあります。

一方で若い世代は、「えぐい」をほとんど「すごい」と同じ感覚で使う人もいます。同じ家族の中でも、親と子で意味がずれることがあるんです。

  • 「この子のテスト、えぐいで」(若い世代=すごく良い/年配の方=ひどく悪い、と受け取られることも)
  • 「えぐい人気やな」(=ものすごい人気だね)

ほめたい時は「えぐいうまい」「えぐいすごい」のように、良い意味の言葉を後ろに足すと誤解されにくくなりますよ。

地域や家庭による差

えぐいをどの意味でよく使うかは、地域や世代、家庭によって違います。関西の人でも「すごい」の意味では使わない、という方もいます。

関西の言葉で近いもの

関西では、えぐいと似た場面で「えげつない」と言うこともあります。どちらも「ひどい」「容赦ない」という意味で使われますが、えげつないの方が少し強く、とがった響きになりやすいです。

  • 「えげつない値段やな」(=ひどい値段だね)
  • 「えぐい値段やな」(=ひどい値段だね)

どちらを使うかは、人や地域によってさまざまです。同じ場面でも、言う人によって選ぶ言葉が違うのも方言のおもしろいところですね。

「えぐい」を使った例文と会話

えぐいがよく出てくる場面
  • 量や数がとても多い時
  • 坂や仕事がきつい時
  • 言い方が容赦ない時
  • 見た物がすごすぎて驚いた時

えぐいは、驚いた気持ちをそのまま口に出す時によく使われます。場面ごとに見てみましょう。

量や程度に驚いた時

  • 「この人の多さえぐいな」(=この人の多さ、すごいね)
  • 「えぐい暑さやわ」(=ひどい暑さだよ)
  • 「荷物えぐい重いやん」(=荷物がものすごく重いじゃない)

「えぐい重い」のように、えぐいを「とても」の意味で形容詞の前に付ける言い方もあります。若い世代を中心に聞く使い方です。

きつい・しんどい時

  • 「今日の練習えぐかったわ」(=今日の練習はきつかったよ)
  • 「この仕事量はえぐいって」(=この仕事量はひどいって)
  • 「朝からえぐい渋滞やで」(=朝からひどい渋滞だよ)

しんどい気持ちを、少し笑いにして伝える時にも使われます。「えぐかったわあ」と語尾を伸ばすと、ぐちっぽさが少し和らぐんです。

ほめる時

  • 「その絵、えぐいうまいやん」(=その絵、ものすごく上手じゃない)
  • 「えぐ、天才やん」(=すごい、天才じゃない)

会話の中ではこんな感じ

「昨日、10キロ走ってん」(=昨日、10キロ走ったんだ)

「えぐっ、ようそんなに走れるな」(=すごい、よくそんなに走れるね)

もう一つ、ひどい意味のえぐいも見てみましょう。

「明日までにこれ全部やってって言われてん」(=明日までにこれを全部やってと言われたんだ)

「それはえぐいわ、手伝おか?」(=それはひどいね、手伝おうか?)

もう一つ、食べ物の話のえぐいもあります。

「このたけのこ、なんかのどがイガイガするわ」(=このたけのこ、なんだかのどがイガイガするよ)

「あく抜きが足りへんかったんやな、えぐいもんな」(=あく抜きが足りなかったんだね、えぐみがあるもんね)

同じえぐいでも、前後の話でほめているのか、あきれているのかが変わります。表情や声の調子もヒントになりますよ。

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関西以外の人が「えぐい」を使う時の注意

よくある失敗

目上の人や初対面の人に「えぐいですね」と言うと、ほめたつもりでも「ひどいですね」と受け取られることがあります。かしこまった場では「すごいですね」と言った方が安心です。

えぐいは、くだけた会話で使う言葉です。友達同士なら問題ありませんが、相手や場面を選んで使いましょう。

関西以外の人が使っても、えぐい自体は不自然ではありません。もとは全国にある言葉なので、関西の人と話す時も気負わず使ってみてください。

ただ、「えぐいな」「えぐない?」のように関西弁の語尾まで真似すると、イントネーションが合わずにぎこちなく聞こえることもあります。慣れないうちは「えぐいね」のままで十分ですよ。

特に、年配の方には「すごい」の意味が伝わりにくいことがあります。ほめたつもりが悪口に聞こえないよう、気をつけたいところです。

場面使いやすさ言い換えの例
友達同士の雑談使いやすいそのまま「えぐいな」
年配の方との会話意味がずれることがある「すごいですね」
職場・目上の人避けた方が無難「大変ですね」「すごいですね」
人の見た目や性格避けた方が無難具体的にほめる

「えぐい」と言われた時の受け止め方

関西の人に「それえぐいな」と言われても、すぐに悪く受け取る必要はありません。多くは「すごいな」「ひどいなあ」と驚いているだけです。

気になる時は、「それ、ほめてる?」(=それ、ほめてるの?)と軽く聞き返してみてください。

関西の会話では、こうしたやりとり自体が楽しまれることも多いですよ。

人の見た目や性格に「えぐい」を使うと、ほめたつもりでも相手を傷つけることがあります。物や出来事に向けて使うのが無難ですね。

関西の言葉には、ほかにも「とても」の意味で使うものがたくさんあります。全国に広まった「めっちゃ」については「めっちゃ」は関西弁?で紹介しています。

関西の人が使う「とても」の言い方には「えらい」もあります。詳しくは関西弁の「えらい」の意味をどうぞ。

ほかの言葉は関西弁一覧、関西弁そのものは関西弁とは?にまとめています。

よくある質問

「えぐい」は関西弁ですか?

もとは「あくが強い」という意味で全国にある言葉です。そこから意味が広がった「ひどい・きつい」の使い方が関西などでよく聞かれるため、関西弁のイメージが強くなっています。

関西弁の「えぐい」はどういう意味ですか?

「ひどい」「きつい」「容赦ない」という意味でよく使われます。若い世代では「すごい」の意味でほめる時にも使います。

「えぐい」はほめ言葉ですか、悪口ですか?

どちらにも使われます。前後の話や声の調子で判断します。目上の人には「すごいですね」と言い換えた方が安心です。

「えぐい」と「えげつない」は同じ意味ですか?

どちらも「ひどい」「容赦ない」の意味で使われますが、えげつないの方が強く、とがった響きになりやすいです。

「えぐい重い」のような言い方は正しいですか?

若い世代を中心に、えぐいを「とても」の意味で使うくだけた言い方です。友達同士の会話なら自然ですが、改まった場には向きません。

「えぐい」のもとの意味は何ですか?

山菜やたけのこなどを食べた時の、のどや舌がイガイガするような「あくが強い」味のことです。「えぐみ」という言葉も同じ仲間です。

まとめ

この記事の要点
  • 「えぐい」のもとの意味は「あくが強い・えぐみがある」
  • 関西などでは「ひどい・きつい・容赦ない」の意味でよく使われる
  • 若い世代では「すごい」の意味でほめる時にも使う
  • どの意味も「度を越して強い」という感覚でつながっている
  • 目上の人や人の見た目には使わない方が無難
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関西弁ドットコム 編集部

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